無事合流した四人はカロウドの邪魔が入らない内にと祭壇の水溜まりに剣と宝玉を浸した。
――おかしい。
明らかに、何かがおかしい。
ランスォールたちの様子を見ながらシーラは得体の知れない奇妙な気配を感じていた。
盾は本物。
この場にカロウドはいない。
なのに何故、この嫌な予感は何処から来るのだろうか。
「シーラ!」
儀式の準備を終えたランスォールが祭壇からシーラを呼んだ。
「ええ、今行くわ…」
一度だけ入り口を振り返り、シーラも祭壇に上った。
「…!
ランス、この配置は…」
驚いてランスォールの顔を見れば彼は口元を吊り上げニヤリと笑っていた。
「約束、だからな。
一番最初はシーラだ。」
その配置は、全ての呪いを解く力を持つ配置。
つまり、シーラの不老不死を解く為の。
「さあ、始めよう。」
シーラを水溜まりの真ん中に立たせ、ランスォールが手を翳す。
すると水溜まりは淡い翠の光を放ち、中心のシーラを包んだ。
「きれい…」
「ああ」
二人の様子を見て呟く雪にラウフが相槌を打つ。
やがて翠の光は収束を始め、その中に煌めく銀髪が見えた。
「シーラ、何か変わったことは?」
ラウフが問うとシーラは考えるように少し首を傾げ、やがてそれを横に振った。
「何も。
でも、なんだか気分はいいわ。」
それが気のせいというやつであることは明らかだったが十分だった。
「そりゃよかった。」
ラウフがニヤリと笑ってやればシーラもそれに笑顔で返すのだった。