夏祭りは大盛況で幕を閉じた。
もう私と久遠が組む行事はない。
学級委員の任期も後残りわずかだ。
「夏祭り終わるといよいよ夏休みだね」
浮かれ調子で桜が言う。
確かに…もう夏休みだ。
夏休みになればみんなにしばらく会わないのか…
寂しい?それとも嬉しい?
どちらも答えは出ない。
「夏祭りでさ…」
「なに?」
「理沙ちゃんの様子が一瞬おかしかったんだよね」
「そう?」
「私の気のせいかな?」
「大丈夫よ」
中野がいるから…
とは言わなかった。
「千夏ちゃんはどうなの?」
「なにが?」
だいたい桜が聞きたそうなことはわかる。
「大倉君と」
「あ〜…」
大倉は冗談では好きとか言ってくるけど…
「大倉はサッカー命だから」
「え?」
「夏休みもサッカーの合宿」
「え〜そうなの?」
でも私はそんな大倉が誇らしい。
大倉にとってサッカーに勝るものはない。
私はそれでいいと思う。
「そうなの」
桜はなんだかつまらなさそうだった。
「理沙ちゃん遅いね〜」
「うん…」
あの夏の夜、初めて知った事実を私は今も一人で抱えている。
あれから悩んだ。
だけど知ったとはいえ、私にできることは何もない。