クミは怖くて震えていた。
「何で…こんな…。ひどい」
乱闘はどんどん拡がっていく。
イッコーも愛もカバちゃんも厳しい顔で乱闘を見つめている。
「三人とも、気をつけてね。また会いましょう。アタシ達もう行かなくちゃ」イッコーがクミ、アユミ、ナミエの方を見て言った。
「そんな…。イッコーさん。危ないですよ。ダメですって!」クミが止めた。
「クミちゃん…。あなた達は何の為に集まったの?あなた達にはやるべき事があるでしょう?争いをやめさせるのは、それ以上の力じゃないわ…。力に力で対抗しても反発されるだけ」イッコーが言った。
「いい?クミちゃん…。今こそ、あなた達が必要なのよ…。危険だけど…この騒ぎを治められるのは、愛を伝える貴女達の力だけ…あの二人を見てごらん?」イッコーは、ナミエとアユミの方を見て言った。
クミは二人を見た。二人とも既にスタンバイ済みだった。今にも飛び出していきそうだ。
クミは納得した。ああ、この人達と会えて良かった。
「イッコーさん、愛ちゃん、カバちゃん…。ありがとう。ウチ、やります!必ずこの争いを止めて見せます。歌い続けます。みんな気をつけて!」クミはアユミとナミエを見た。
「行くわよ…」ナミエが言った。
「よっしゃ!」アユミが気合いを入れた。
三人の歌姫は乱闘の最前線に飛び出していった。
「さて、アタシ達も行かなくちゃ…でも、どうやって車までいこうか?」イッコーが困った顔で二人を見た。
「ねぇ、あそこ見て!あれ、ケインじゃない?」カバちゃんが指差して言った。
「あっ、ホント!ワッキーとショージもいる!ケインが何か叫んでる」愛が言った。
「あの辺までくらいなら走って行けるんじゃない?」イッコーが言った。
「うん。なんとか…。イザとって時は、頼むわよ、ケンジ!」カバちゃんが愛に向かって言った。
「誰がケンジやねん!?」愛がツッコミを入れる。
「さぁ、イクわよ!」三人のオカマも乱闘の最前線に飛び出していった。