ここはどこなのだろう
遠く先に、爪の大きさ
ぐらいの何かが見える
とりあえず歩きだそう
そこにたどり着く前から
その何かが何なのかは
気付いていた
黒く長く輝く長い髪
見とれてしまうほどの
美しさだった
「あなたは誰?」
小さく弱々しい旋律の
ように奏でられる声
「俺は… 誰だ?」
ふいに頭を殴られた
ような激痛が走った
「…っつ…」
「あなたの記憶に私は
いたはず…。ねぇ、
思い出してよ…ねぇ!」
今にも泣き出しそうな
声で彼女は叫んだ
俺の脳内にうっすらと
だんだんに鮮明に