神の丘〜歩み〜?

佐奈  2009-05-16投稿
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首都、バルク。

近代的な建築物と、歴史的な建築物が入り混じる、政治・経済・文化の中心首都。

人と車でにぎわう街の中央には、緑で囲まれた膨大な敷地があった。

中央の大統領府、シラ宮から南へ向かって、人口的に作られた川と緑の大きなじゅうたんが敷かれた大きな公園。木々で囲まれた左右には、国の各省庁の建物が並んでいた。

その、一つの建物の一室に、彼は居た。

窓の無い暗い部屋。
カチン!シュッ‥ボッ!

部屋の中に響くジッポライターの音。中央に赤い小さな光。

「ここは、禁煙だぞ。グレイ」

部屋の四隅の一つから聞こえる声。そして、緑の炎が立ち上がる。

「わしは、タバコの臭いが大嫌いでね」

今度は緑の反対の部屋の隅に、黄色い炎が立ち上がる。グレイは、口から煙りを静かに吐き言った。

「実際、そこに居る訳でもないのに・・・うるさい奴らだ」

そう言って、タバコを床に捨て、踏み消した。

「口を慎みなさい。グレイ」

「‥5分の遅刻だ、グレイ‥まあ、よい。報告を聞こう」

三つめは、青い炎。そして、最後に赤い炎が部屋の四隅を埋めた。

「二ヶ月前、ドルスの北にある製鉄所で派手にやったようだな。その後も三度、“マリア”と接触したそうではないか」

緑の炎が言った。

「報告?そこまで知っているなら、必要の無い事では?」

グレイは下を向き、少し笑って答えた。

「マリアの情報が少ない中、SPS訓練所を出て、まだ半月だというのに、君はこの二ヶ月で、四度、彼と接触した。それはなぜかね?」

赤い炎が聞く。

「‥なぜ?」

グレイは次に出る言葉を押し殺し、答えた。

「‥私の能力の高さは、あなた方もご存知でしょう?私の自由にやらせてくれる事を、承諾して頂けたことが、全ての結果ですよ。あなた方の期待には答えてみせます」

「‥まあ、よいでしょう。私達はあなたに一任したのです。“マリア捕獲”があなたの任務です‥忘れないように」

青い炎が言う。

「‥捕獲ね‥まあ、いい。一つ、聞いてもいいですか?」

つづく




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