■1.幸せ
「なーおー!!」
紗季姉が手を振った。
あたしも、紗季姉に向かってブンブン手を振った。
幸せだった。
あたしは、愛されていると
心から感じていた。
まさか、この幸せが
なくなるなんて
誰もが予想してなかったよ。
神様は、
知っていたのですか?
「奈緒、もうすぐ誕生日よね!」
お母さんがニコニコしながら、あたしの髪を撫でた。
「うん、15才だね〜(笑)」
「そうね。もう15年も生きてきたのね‥」
しみじみ語るお母さんは、窓の外をずっと見ていた。
「あはは(笑)いきなり語るの?」
「奈緒が生まれた時、紗季が泣いてたのよ。まだ紗季は2才だったのにねぇ」
「ふぅーん。何だろね」
「きっと嬉しかったのよ。」
「へぇ〜‥」
きっと、幸せが続いていくと思っていた。
だって、予想なんて出来ないよ。
「紗季姉、お父さんは?」
「あーなんか仕事?」
「忙しいのかなぁ‥」
「奈緒の誕生日ん時には帰ってくるよ」
「うん‥」
お父さんは、仕事をしていなかった。
お母さんとは違う女の人と、遊んでいたんだ。