第十話、背後霊、温泉宿で働く
「はあ、何故売店で働いているのかしら?」
影香は売店の隅で溜息を付いていた。
光江と戦い、温泉旅館『鳳凰』の敷地の壁を壊した為、弁償する為に働いていた。
「光江は駅の手伝い、京助は風呂の手伝いか。まさか背後霊の私が京助から離されるとは」
「影香、溜息付いてないで壁代稼いでね」
後ろから吉元麻以が言った。
「もう、鬼!」
「私は鬼族じゃなくて神族だけど」
「それは知っているけど、はあ・・・・」
また影香が為を付いた。
すると、売店の外から騒がしい声が聞こえて来た。
「大変だ、男湯の敷地から白骨がでたぞ!」
「えゑ!?」
麻以と影香は、揃って絶叫した。
「白骨は本物ではなく模型だった」
京助は、騒動を聞いて来た影香と光江に現状の説明をしていた。
「人騒がせね、わざわざ白骨の模型を男湯に置いたのかしら?」
光江が疑問を口にする。
「旅館の評判を落とす為じゃない?旅館の敷地から白骨が出たなんて知れたら一変に終わりよ」
影香が光江に説明する珍しい光景。
「わざわざ白骨の模型を用意して敷地に放置、誰に発見させて鳳凰の評判を落とそう企む奴がいる訳だな」
京助は自分の考えを二人に言った。
しかも、京助の考えは的中する。
近くに怪しい二人組の姿があったのだ。
十一話に続く