気づいたら、ここにいた。
暗く、小さな部屋。
床、壁、天井の全てが無機質な灰色をしていて、かたく、冷たい。
この部屋には、何もない。
窓も、明かりも。ドアさえもない。
ただ、自分という物体があるだけ。
ここがどこなのか知らない。知りたくもない。
自分が誰なのかもわからない。
なぜここにいるのだろうか…。
もしかしたら自分はこの部屋で生まれたのかも知れない、
何のために?
死ぬため…。
かなりの時間が経った。
ただ、それだけ。
不思議と空腹感はない。
眠気も全く感じない。
まさか、この部屋、本当に何もない…?
そう考えると、死にたくなった。
しかし、ここには何もない。
ナイフも、拳銃も、毒薬も。
ただ、孤独だけが充満している。
永遠の孤独…。
どれくらい経ったのだろうか。
すでに知ってしまった。
この部屋には本当に何もないことを…。
窓も、ドアも、拳銃も、鏡も、眠気も、希望も、色も。
それから、時間さえもない。
つまり自分に死は訪れない。
この部屋には、「死」までもないのだ。
ただ、自分という存在と、孤独だけがある。
時間が存在しないからこそ、孤独だけはあるのだろう。
永遠の孤独…。
それは、死ぬことよりも辛いこと。
つい最近、それを知った。
人がたくさんいて、
溢れるほどのものがあって、
時間になったら死が迎えにくる。
そんな夢のような世界を想像した。
それから、「贅沢すぎるな」と
笑ってしまった。