ワタシも、あの中に入れたならどれだけ楽しいだろうかー。
わかってる。
ワタシにそんな資格などないんですカラ…。
「幸は…女なのか?」
輝の変わりにドールが答える。
「いや、胸はないし…子宮もないんだよ。けど男性器がついてる訳ではない…。」
「でも幸は…天使なんじゃないのか?だって…翼が…。」
「…天使だけど、天使じゃないんだ。彼の母親は天使なんだけど父親は吸血鬼。幸はどちらかというと吸血鬼にちかいかな?」
『あいつには双子の弟がいるんだけど…そいつは天使にすごく近い。』
輝の声が小さくなっているような気がする。
「その弟は?」
「現在行方不明だよ。」
「そんな…。」
でも、幸は誰かを憎んでいると言ったけど、誰なんだろう?
「ん…輝?何処?」
ちょうど幸が目覚めたようだ。
「輝!!」
幸は部屋の一方へ駆け寄る。おそらくそこに輝がいるんだろう。
「お願い…置いて逝かないで。私を…一人にしないで。明も輪も死んでしまったんだもの。私には輝しかいないのに!」
何故世界は幸せになれない人も作ってしまうのだろうか?