「ハァ、ハァ」
夜中、1人の少年がパンパンに膨れ上がったバッグを片手に全力で駆けていた。
やがて、目の前にボロボロの廃倉庫が見えた時、少年はラストスパートをかけ、倉庫のシャッターを思いっきり開いた。
中に入ると、いつものように5人の凶悪な男達が彼を待ち受ける。
「遅かったなエディ‥」
「ふふっ‥やるなァ‥ちゃんと盗ってきやがったぜ」
エディはゆっくりと、食料品などが大量に詰まったバッグをその場に置く。
そこへ、奥から1人のリーダーらしき屈強な男が姿を現した。男はすかさずそのバッグを持ち、テーブルの上へ置くと、中身を取り出した。
「上出来だな、エディ。明日は金を頼むぞ。ノルマは500ドルだ」
「……」
「おい!分かったのか!」
「は、はい‥」
疲れ果てたエディは、そのまま椅子に座り、気が抜けた様に顔を俯かせた。
そこで彼は思わず呟く。
「もういやだ…こんなこと‥俺にはもう出来ない‥」
勿論その言葉を男達が聞き逃す筈がなかった。
「何だ!?」
「何か言ったかこの野郎!!」
勿論リーダーであるジェリーも黙っていない。彼は怒りに満ち溢れた表情を浮かべながら、エディに詰め寄る。
「ふざけた事ぬかすんじゃねぇぞ‥
クソガキが!!」
「ヒッ!!」
ジェリーは拳を振り上げ、思いっきりエディの頬を殴った。その衝撃でエディは地面に倒れ、口から血を流しながらその場にうずくまる‥。
「クソガキが‥ぶっ殺すぞ!」
ジェリーはエディの胸ぐらを力強く掴み、思いっきり壁に押し付けた。
「‥死にたいのか?」
そう言いながら、ナイフを取り出し、その刃先をエディの眼球に近付ける‥。
「ご、ごめんなさい‥」
「聞こえねぇんだよ!!」
「ごめんなさい!!何でも言う通りにします!!」
すると、ジェリーはナイフを握る手を下ろし、胸ぐらから手を離した。
「そうかい…わかりゃあ良いんだよ‥
それより、明日の夜、俺達はここを発つ‥サツ共に見つかるのも時間の問題だからな。勿論、お前も来るよな?」
「も、勿論です…」
「よおし、良い子だ」
ジェリーはそう言って、エディの頭を優しく撫でた。
その時、倉庫の割れている窓の隙間からその全ての光景を覗いている者がいた…。
続く