翌日、ジョニーは依頼人のケリーの自宅へ訪問していた。
「お話って何ですか?」
ケリーは入れ立てのコーヒーをテーブルの上に置きながら尋ねた。
「エディ君の事だが、彼は仲間を怖がっている」
「仲間?」
彼女は思わず目を丸くした。
更にジョニーは続ける。
「昨日分かった事だが、この街には壊滅したギャンググループの残党が潜伏していてな。エディは奴らの使いっ走りだ‥奴らが怖くて抜けるに抜けられないでいる」
「そんな‥だから半年以上も‥
ジョニーさん!お願いします!息子を連れ戻して下さい!このままじゃ、息子の命までもが‥」
彼女は涙を流しながらジョニーにすがりついた。
「大丈夫。息子さんは絶対に連れ戻す。 だから、安心して。後、この写真を返すよ」
懐に手を伸ばし、ジョニーは預かっていた写真を彼女に手渡した。
午後6時頃
とあるスーパーに1人の少年の姿があった。彼は周りをキョロキョロしながら、商品に手を伸ばす‥
(よし、大丈夫だ…絶対に大丈夫だ)
その時
その伸びた腕を何者かによって掴まれた。
「おっと、間に合ったな」
すかさず彼はその腕を振り払い、目の前にいる男と一定の距離を置いた。
「だ、誰!?」
「便利屋のジョニーだ。とりあえず店から出るぞ」
店から出た2人は、そのまま駐車場に停めてあるジョニーの愛車に乗り込んだ。
「エディ君だな?お母さんに頼まれて、君を連れ戻しに来た」
「えっ、お母さん?」
「そうだ。母さん凄く心配してるぞ」
それに対しエディは顔を俯かせ、無表情のまま答えた。
「駄目だ…帰りたいけど、帰れないんだ‥」
「ああ、分かってる。だから母さんの所に帰る前に、その悪いお仲間さんに別れを告げるんだ」
「そ、そんな事したら殺される!」
そう叫んだ後、エディは徐々に目に涙を貯めていった。
「母さんの所に帰りたいんだろ?
なら、奴らとの関係を完全に断ち切るんだ。ふっ、安心しろ。俺が着いてる。俺を信じろ」
「わ、分かった‥でも何で、兄ちゃんは奴らの事を?」
「便利屋だからさ」
彼はそれだけ言い、アクセルを踏んだ。
続く