“雨上がりの明るい午後”
そんな感じのある日、不思議な出会いをした。
“癌”という病気になって以来、自分の体が自分の体でないような…
すべての食べ物を体は拒絶し、辛うじて水と薄ーいお茶の通過だけを許可する。
“絶望”
本当は延命治療なんて望んでいなかった。
“癌”と診断された直後から、私の意見は全く無視され、当然私が“生きたい”と思っているという勝手な解釈の下、家族達の勝手な嘆願によって私の命は繋がれている。
“生きている”という事がどれだけ辛いか、絶え間なく押し寄せる激痛は、自分しか解らない。
“痛み止め”などという無責任な名前は誰が考えたんだ?
同じ世代の人間達は、恋愛や仕事や勉強など、私とはまた違った人生の苦悶を味わっているのだろうけれど、今の私には“絶望”しか有り得ない。
そんな無為な時間しか過ごせなかった私に訪れた“出会い”。
ベタだけど、本当に神様はイタズラが好きなんだなと思った。
余命幾ばくしかない私に与えられた時間は本当に限られているのに、よりにもよって“生きたい”と思わせるような出会いを用意するなんて。
私しかいない暗い、陰気な病室に突如として現れた彼は、見た瞬間に“訳アリ”な奴だった。