こんなアタシだけどアナタは待っていてくれた。
たくさん傷つけて、迷惑かけてばかりいたアタシ。
なのにアナタは待っていてくれた。
やっと気付いたの。アナタがそばにいる事の意味。
そばにいてくれたその意味に。
気付いた時に涙が止まらなかった。
なんて大きな存在。
ごめんなさいね。アタシも頑張っていたつもりだったけど、自分の事で精一杯だった。
アナタが気付かせてくれた。ずっと待っていてくれた。
街で流れるラブソング。今は、全く違って聴こえてくるわ。
みんな知っていたのね。
愛なんて口に出来なかった。
どこか別の世界の事だと感じてた。
だけど、そうじゃなかったのね。
こんなに近くに有ったのね。
ありがとう。
感謝の気持ちでいっぱいよ。
大切な事はただ一つ。たった一つ。
愛が全て。
真実は、ただ一つ。愛だけ。ただ愛だけ。
今なら言える。ただ愛だけ…。
クミは力の限り歌った。周りが目に入らないほど夢中で踊った。
アユミさん、ナミエさん、イッコーさん…みんな、みんなアリガトウ。ウチにできる事は歌うことだけ。
争いをやめて。みんな気付いて。みんな誰と戦っているの?何で争っているの?
大切な事はただ一つなんよ。愛だけなんよ!
アユミもナミエも少し驚いていた。
クミちゃん…。スゴいじゃない…。負けてられないわね。
アユミもナミエも全開だった。
三人の歌姫が、スポットライトもない田舎のドライブインで最高のパフォーマンスを披露していた。
相手は数万のファンではない。数百人の暴徒だ。
歌姫達を、すぐそばで見守る三人の刑事達。ここにも愛があった。
お願い…届いて!この想い。クミは祈った。誰に?自分を愛してくれた人達に。世の中全ての人達に。
そして奇跡が起こった。
暴徒化した人々は、次第に落ち着きを取り戻し、三人の女の歌声に聞き入っていた。
乱闘は急激に終息へと向かった。