机の木の材質が少し冷たく感じる夏の午後の教室。
私と桜は夏休みに入る前に余韻をひきづってなんとなく教室に居残った。
久遠嫌いの桜が珍しく、久遠の話をしだした。
「桜が思うに…久遠君は千夏ちゃんが好きなのよ」
「なによおもむろに…」
私は返す言葉が見つからず苦笑いしかできなかった。
「桜、中野君もよくわかんないんだよね」
桜は本気で悩んでる顔。
「中野?わかりやすい人だと思うけど」
私は適当に誤魔化した。
「うそ!」
桜の言葉が突き刺さる。
「桜、知ってるよ。中野君も千夏ちゃんが好きって」
今の私には返す言葉がなく…無言だ。
「大倉君も千夏ちゃんのことちゃんと考えてるよ」
その先の言葉を聞きたくなくて私はわざと茶化した。
「もう人をからかわないで」
だけど桜の目はまっすぐで
「どうするの?」
逃げられない…そう思った
「わからない…」
私は桜にだからこそ本音で話した。
「私もうどうしていいかわからない…」
桜はまるでお姉さんのように優しく語りかけた。
「自分の気持ちに正直になればいいんだよ」
私はすぐには答えられなかった。
桜は続けて言った。
「私、留学するの」