4.ゆれる想い
奈々美、隆史と別きちんと別れられたのも
今、こうして隆史を忘れられているのも
全部、全部、三宅コーチがいたからなんだ。
三宅コーチがいなかったら きっとまだ
奈々美は悲しみのどん底にいるよ。
奈々美、三宅コーチは傍にいてくれるものだと信じてたよ。
でも、もう頼っちゃいけないかな…
奈々美は思い悩んでいた。隆史のことはだいぶ吹っ切れていた。
しかし、三宅コーチに彼女がいると思うと悲しく、切なく、辛いのだった。
もしかして、好きになっちゃったのかな…?
「練習はじめるぞ〜」
三宅コーチの声が体育館中に広がる。
顔が見られない。好きになりたくない。好きになったら、辛いと思うから。
隆史のことも忘れられたんだもん。コーチのことも忘れなきゃ。
好きになっちゃいけないんだから、忘れなきゃ。。
奈々美は数日間、三宅コーチと話さないようにしていた。
高1の冬だった。
<つづく>