(私は今日この私立中学に入学する。)
小学生の時に受験勉強をして、この大学までエスカレーターの中学を選んだ。
4月の中頃。
「おはよー」
挨拶をしてきたのは、クラスで1番仲の良い岡本歩美(おかもとあゆみ)。
「ん、おはよ」
私―弘瀬鈴(ひろせりん)―が挨拶を返す。
今日は4月の終わりの方にある『オリエンテーション』という一種の修学旅行のようなものの話し合い。
もちろんクラスで行動するのだが、班行動もある。
鈴の班は、鈴を除く女子が1人と男子が4人。
指示通りそれぞれの班は集まって話し合いをしていた。
「で、何を確認すれば良いの?」
と、渡辺悠哉(わたなべゆうや)が言ってきた。
「聞いてなかったのかよ。」
と1人の男子がツッコミを入れる。
他から見れば明るい班なのだろうが、天然が多い。
「とりあえず…君が…」
と悠哉がメンバーを確認していく。
「で、弘瀬…すずちゃん?」
「!?」
確かに鈴はよく名前を間違えられる。
「すず じゃなくて りん だよ!」
と頬を膨らませて言う。
こんな天然が集まっている班でやっていけるのか心配でならない…