石塚クリーニングのステップワゴンは第一ゴール地点のFタワーに到着した。三人のデブが走る。
「オレ達、どう考えても1位だよな?」英彦が言った。
「ああ、ほとんどの連中はまだドライブインで乱闘してるんじゃないか?」ヒカルが息を切らせて言った。
「オレ達の作戦は大成功だった。遼一さん達も、もうすぐ着くだろう」シンジは満足そうに言った。遼一達と組む事で優勝が俄然、現実味を帯びてきた。
シンジは興奮していた。
待ってろよ明菜…。
タワーの正面に奇妙な男が立っていた。能面のような仮面をつけ、<ギャラクシーラリー事務局>と書かれたタスキを掛けている。
シンジは仮面の男に言った。「参加者だ」
「バッチをコチラに…」男が馬鹿に丁寧な仕草で指示した。
三人のデブはバッチを渡す。仮面の男はスキャナーのようなものをバッチに当てた。男が持っているモバイルパソコンのようなものにデータが表れた。
「石塚シンジ様、英彦様、ヒカル様ですね。おめでとうございます」仮面の男が深々と頭を下げた。
三人はお互いの顔を見合わせた。
「やったぜ!」
「皆様、チーム名石塚クリーニングは第一ゴールで3位に入賞されましたので、50ポイントが与えられます。次の目的地はH温泉のR館というホテルでございます」
「えっ3位!?何かの間違いじゃ…」ヒカルが男に言った。
「いいえ、間違いありません。1位は、チーム名スマ、2位はチーム名アヤで、それぞれ100ポイント、70ポイントが与えられ、既に出発されました。ちなみに今回は高速道路の使用は禁止とさせていただきます」
「何だって!?チキショー!訳わかんねぇ!何だよ!どうするシンジ?」英彦とヒカルが騒ぐ。
「とにかく急ごう!」シンジは携帯を取り出し、遼一に走りながら電話をかけた。
天才の計算が狂い始めていた。スマ?アヤ?何者だ!?
計算を修正しなくては…。
「もしもし、遼一さん、ヤバい3位だ!更に上がいた!まだ着きませんか?」
「もうすぐ着くよ。早く出発しなさい」遼一は落ち着いていた。
「はい。もう向かってます。遼一さん…想定範囲内ですか?」
「うん…まぁ良いシナリオではないけどね。確認するよ。3位だね?2位じゃなくて」
「はい…。1位はスマチーム。2位はアヤチームです…」
「ポイント配分が問題だな。シンジ君、落ち着いて…何か食べなさい」