「いつか、一緒に桜見れたらいいね。」
その『いつか』がこないことなんてわかってる。
「早く春になんないかなぁ。冬寒くてやだぁ。」
だけど、それでもその『いつか』を信じたくて。
「そうだね。桜見て二人で笑ってたいね。」
希望にしがみつき、そう答える。
「あっちぃ〜!」
隣でこう叫んでるのはマサキ。
「でも暑いと女の露出上がるからいいよね!」
道を歩く女に声かけまくってたと思ったら、いつのまにか帰ってきてたコウキ。
「つか、お前何連敗してるん?(笑)」
「うっせーよ!百人に声かけりゃ数人は捕まるんだよ!」
「だから、ユージ!」
「お前も来い!」
ものすごい勢いで絡まれた…。
「いやいや。俺が行ったら余計ダメだからマサキと行けよ。」
マサキはすげーイケメン。
中身もいい。
だけど彼女作らない不思議な奴。
曰く、遊んでたが楽らしい。
コウキは顔はいいんだけど中身がチャラくっていつも振られてる。
曰く、百人に告れば数人はひっかかるはず!といつも言ってる。
「んじゃマサキ!いこーぜ!」
マサキが返事する前に引っ張っていきやがった。
結局一人残され、流れる人混みをずっと見てた。
いつもの何気ない風景。
家族連れやカップル。
毎日当たり前にある風景が。
その日から変わった。
1人の女を見つけたその日から。
俺の日常が変わった。