川籐はベンチスタートとなった。もともと恵まなかった川籐はそれだけでもう満足感でいっぱいだった。
しかし、その川籐の満足感は一気に打ちのめされることに。
高卒の新人、田中がケガで離脱した藤川の代わりに守護神を勤めるというのだ。オープン戦での結果はもちろん、実力と愛くるしさで多くのファンをとりこにした。
「きゃー、田中く〜ん?」「田中、お前こそホンマもんや?」
「うちの好みやわ〜?」
初々しいルックスとは裏腹に、抜群のコントロールと決め玉のスクリュー?
もともと、速球好きな川籐にはいけすかない存在だった。
田中の存在は川籐に火をつけた。