美優は意を決して話しかけることにした。
「あ、あの〜、藤木君ですよね」
怪訝そうに拓人が見上げた。
「そうだけど…」
「あたし、坂田、坂田美優だけど覚えてるかな…」
美優の期待と緊張は最高潮に達していた。拓人は一瞬、間があったが表情ひとつかえず呟いた。
「覚えてないな…」
(え!!)
美優は思わず絶句した。
(なんで…?!オボエテナイ?今そう言った…?)
美優は狐につままれてるようだった。
「はいっ、みんな席に着いて!」
新しい担任の白川が教室に入ってきた。
美優は急いで自分の席に戻った。