「ユウ君神様っているのかな…
いるなら助けてほしいな
わたしまだ生きたいの…」この言葉が僕が聞いたサキの最期の言葉だった。
それからサキは永遠の眠りについた。
「相沢君27Pの3行目から音読あたるよ!」
寝てる僕の耳に声がとびこんできた。
隣の席の篠田紗僖が僕が怒られないように教えてくれた声だった。
急いで教科書の27Pをあけるとちょうどフジイが僕をあてた。
篠田紗僖は授業の時だけ眼鏡をかけている真っ黒な髪のおとなしい細い子だった。
だから5月にもなって始めてしゃべっているのを聞いたのだ。
篠田紗僖のことを考えてたからかいつもよりつまりながらなんとか一段落読み切り最悪の事態はまのがれた。
助かったーと思いながら席に座ると
「相沢君いつも寝てるけどあてられたらどうするの?」
と篠田がきいてきた。
「…勘かな。」
と応えると何がおかしかったのか急に彼女はくすくすと笑いだした。
「コラ!そこ笑わずに授業聞け!」
フジイが叫んでいたが彼女の笑いはとまらなかった。
「なんで笑ったん?」
と休み時間に聞くと彼女は
「だって関西ぽいしゃべり方じゃなかってんもん。
彼女のつぼがどこにあるかわからないが彼女のそのあどけない笑顔に僕はすーっと惹かれていった。
ある日僕は友達と遊ぶ集合場所にきていた。
「おせーな あいつ何してんだろー。
と思っていると携帯が鳴りこれないと言っている。
いわゆるどたキャン。
家に帰ってもすることがなくぶらぶらして帰ろうと思い歩いてると
「相沢くーん」
と呼ぶ声が聞こえた。
篠田紗僖が僕を見つけて笑顔で手を振っていた。
心臓が3回ぐらいひっくり返ったかと思うぐらいびっくりしたけど
「あっ篠田やんこんなとこでどーしたん?」
と真顔で聞くと
「お散歩してたの!天気がいいと気持ちいいのよ!相沢君は?」
「どたキャンされてぶらぶらしてるだけ。」
「ほんまにー。相沢君家の方向同じだし一緒に歩いていかない?」
「うん。いいよ。」
素っ気ないかもしれないけどこれが僕にとっての精一杯の返事だった。
これが僕の生まれて始めての好きな人とのデートだった。
いろんなことをしゃべったけど緊張で忘れてしまったでもあの時は本当にしあわせだと思った。