まったくね、屋根の上での断罪劇というか何というか、そういうものを朝っぱらからやられるとこっちも大変なんですよ。
管理人さんは言う。無理もない話だと思う。
「そりゃね、私もこの間前線に旦那を送られるまではあなた方みたいな、派手な喧嘩をやらかしたりもしましたよ。だけど今となっちゃ深く反省もしているんですよ。ご近所様をご迷惑をおかけしたことを……」
僕は管理人さんを殴る。そうして逃げる。部屋に置いたままとなっているミサの顔が、一瞬ながら脳裏を掠める。それでも、人一人殴ってしまったからにはいつまでもその場に留まっているわけにもいかない。
「誰かあいつを捕まえて！」
管理人さんの怒声にも似た響きを伴った金切り声を上げるのが後ろに聞こえる。
僕は少々がっかりしていた。なぜなら、あの管理人さんはものわかりがよくて、そんなことをして人の注意を得てしまえば後で僕に復讐される程度の予測は持ち得るものと信じていたからだった。
僕は強く誓う。今夜、屋根の上から侵入して、あらゆる部屋からあらかたの金品を盗んでしまおう。すぐに現金に換えて、逃亡資金にあててしまおう、と。何しろ僕を怒らせてしまったのだから、それなりのペナルティを与えなくてはならないし、気も済まない。
侵入する様を想像して、よだれを垂らす。
ああ！ 今夜が待ち遠しい。
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