あんたならどうする?
午前2時。
俺はこのマンションに住む大学生だ。
あろうことかコンビニの帰りにエレベーターがとまりやがった。
信じられん。
「うそん・・・。」
とりあえず大きな声を出したり,
ジャンプしたりしてみた。
が,やはり結果は同じ。
ゆすっても叩いても,
色々階数ボタンを押してみてもやはりダメ。
すぐ帰るつもりだったので携帯も部屋。
「これしかないか・・。」
非常ボタンだ。
いや最初に押すべきやん!!!
そう思ったんだろ?
じゃあ逆にツッコむが,あんた非常ボタン押した事あるか?!?!
午前2時だよ!?
管理人も嫌な顔するし,ドアが開けば待つのは近所の人らの冷たい,
そして憐憫の眼差しよ!こちとら外見世間体が気になる思春期よ!?
無理だろ!!!!!
「うっ・・・!?」
突如襲いかかる腹への激痛。
当然これは大だ。
この状況で一番来ちゃいけねえ。
いや汚い話じゃない。
マジで緊迫した状況だ。
しかもエレベーターは時間と共に,どんどん蒸し暑くなる。
暑いから汗か我慢の冷や汗かよく分からないが,とにかくそれが目に入り,ますます不安定な状態だ。
このいたずら小箱ちゃんにはこれ以上付き合いきれない。
押す!
俺は押す!!!
押すぞぉぉぉぉ!!!!頭がおかしくなる前にな!!!
「ビーーーーッ」
・・・・・・
・・・・・・
『どうされました?』
可愛ッ!!!!
恐ろしく可愛い声が返ってきた。
管理人の娘か何かだろう。
この異次元小箱に閉じこめられてはや一時間半。トロけるような甘い声に俺は少し癒される。
しかし場合が場合。
それどころではない。
このエレベーターから出れるなら俺は恥も外見も捨てれる!!!!!
何ならこの不備なエレベーターについて文句言うたる!!!!!
「管理人さんいますか?」
『今いないんです。どうされました?』
「いやぁ何でもないんです。私としたことがつい間違えてしまって。
ハッハッハッ。」
『そうですか。』
プツッ・・・・・・ン。
俺が悪いんじゃない。
思春期が悪いんだ。