「お前が嫌いだ。」
彼は私にそう言って、メールの返信や電話を拒否するようになった。
彼との出会いは、二年前の八月。一目で好きになった。メールをよくやりとりするようになり、私がへこんでいるときには、とても元気のでる言葉をくれた。私にしか言えないと弱音をメールではいてくれた。
半年前の冬、普段の息抜きにと二人で映画にいった。映画をみてるとき、思い切って、すこ〜しずつよりそってみた。
あっ、少しふれた!向こうもなんとなくよってきた。いつの間にか終わるまで私たちは、肩と腕がふれあっていた。
その夜のメールからは、お互いが好きだとわかりあえた。しかし…、私は、四年前に結婚した主婦。二人の小さなこどももいる。そして、彼は旦那の10年来の大親友。
だから、お互いの気持ちはおさえなければならない。…なのに、本気で好きになってしまった私たちは、何度も隠れてあっていた。なんとか綺麗ないいわけをして二人の関係を続けたい。そんなこと考えてまで一緒にいたかった。
三月に、旦那にみつかり、離婚、親権の破棄、慰謝料を要求された。当然のことだ。親友と妻に裏切られたのだ。
那に愛情はあまりなかった。でも、こどもを失い、こどもにつらいおもいをさせてしまうと思うと、謝り続けるしかなかった。あなたがすき。彼とはもうあわない。
嘘の固まりだった。家族を大切にすることを前提に、許してもらえた。
毎日の育児に疲れはて、愛情のうすれた旦那からの束縛が強まり、また彼にあいにいってしまった。彼も友情をなくし、仕事のストレス、誰にもいえない弱音におしつぶされそうだったんだろう。
二人はお互い抱きしめあった。全ての疲れがとれた。
…しかし、またみつかった。とにかくこどもは手放したくない。「勝手すぎる、なにをしたかわかっているのか!」
あれから二ヶ月がたった。私はこどもと一緒にいさせてもらえている。
私もつらいが旦那もつらい。こどもたちは果たしてしあわせなんだろうか?
でもね、かんた、あなたを思い続ける。いつか縁があったら、一緒になれるんじゃないかなとひそかにおもってる。りん、はやと、ママはあなたたちがいてくれるから、毎日泣かずに笑っていられる。
家族を大切にしながら、かんたをこころの中ですきでいよう。理不尽といわれても、いまの私にはそうすることしかできない。