マモルとミユキの二人は、後ろから操縦席の亀山の様子を、じっと見ていた。
最初は余裕の表情で、計器類やスイッチを確かめていた亀山だったが、次第に考え込む時間が長くなっていく。
ミユキは間が持たず、窓の外の様子を眺め出した。
マモルはややイラ立ちの表情を浮かべている。
亀山は二人のそんな様子に気付くと、一旦説明書を置き、前を見据えてしゃべり出した。
「えー。それでは皆様、これから間もなく当機はミステリーツアーの旅へと出発いたします。本日の機長は亀山、キャビンアテンダントは亀山、添乗員を務めますのは、亀山でございます。よろしくお願いします」
亀山がぎこちないお辞儀をすると、マモルとミユキも負けないくらいのぎこちなさで、お辞儀を返した。
亀山は続けた。
「こちら機長の亀山です。当機はただ今、計器類の最終チェックのため、出発が若干遅れております。この先、長旅となりますので、まずはお食事にさせていただきます」
そう言って亀山は、助手席にあらかじめ用意されてあったと思われる、食事のトレイを二つ差し出した。
「お、いいねぇ!機内食かよ。オレ、一遍でいいから食べてみたいと思ってたんだ!」
マモルは興奮した表情で、機内食を見つめた。