さっきまで高かったお日様はいつのまにか沈み、町をオレンジで染め上げる。
｢千夏はどうなの？｣
理沙のまっすぐな目線。
｢もう昔のことだし｣
私は二人より前にでて大きな樹越しにオレンジに染まる町を見ながら強がった。
｢そっか…、千夏の気持ち聞いておきたかったんだ｣
｢理沙ちゃん…｣
私と理沙を心配そうに見つめる桜。
理沙は気持ちがいいくらいまっすぐだ。
だからこそ私に言ってくれたんだ。
｢私にとって千夏と桜は大切な友達だから…おばあちゃんになってもずっと友達でいたいから…なんか…｣
理沙の一生懸命なまっすぐな気持ちが伝わってくる。
私もきっと桜も同じ気持ちなはずだ。
｢桜が帰ってきたらまたここで夕日をみようね｣
私は精一杯の笑顔で二人に振り返った。
桜は泣いていた。
理沙は優しく微笑み、桜の肩を抱きしめた。
好きとか恋とか…
今の私には難しくて…
自分の気持ちに鈍感になろうとしていることだけは…なんとなくわかる。
だけど今はそれでいい。
私が今大切にしたいのは…理沙と桜との友情だから。
夕日が沈み、辺りは暗くなりつつある。
風だけが、夜の迎えと私の心みたいに涼しく吹いた。
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