柔らかな木漏れ日と、薔薇の香りに、アルファリアの瞼がゆっくりと上がる。
酷い頭痛に、こめかみを押さえた。
ここはどこなのだろう?
フォルネウスの暴走はいつもだが、カルディアの領土から外れるなんて今までなかった事だ。
それもこんな肥沃な土地に。
カルディアはアルファリアの歌声で保たれている。
早く帰らなければならないと、思った矢先に、ノックする音が部屋に響いた。
「俺はオルガディート。貴公の味方だ」
少し悩んだ末、アルファリアはドアを開けた。
「君に会えるとは俺も運がいい。選定者同士で体面するなど通常考えられないからな」
その言葉に、アルファリアの緊張の糸が張り詰めた。
神が遣わした御使い、すなわち天使よっては襲撃される可能性があるからだ。