ユニゾンハーツ ?

ラスティ  2009-05-25投稿
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そこは、冷たいところだ

とても冷たくそして狭い……

部屋……それだけがわかった。窓はなく、あるのは幅の狭いベッドが一つだけだった。シーツがピンと張り伸ばされてシワひとつなく、埃の降り積もる様さえ見てとれた……まるで牢屋のような所だ

不意に隣の部屋から、誰かのすすり泣く声が聞こえた
壁の向こうで、誰かがしくしくと、声をあげて泣いている。

「痛いよ……痛いよ……」

隣の部屋から少女の細い声が闇に響いた。すると、続いて聞こえてきたものは……

パンッ!!

「うるさい!黙れ!」

男の野太い声が続けて聞こえてきたのだった。恐らく殴られて固いコンクリートの壁に身体を打ち付け、少女はより一層けたたましく泣いた。

「痛いよぉ!痛いよぉ!…助けて……誰か……」

俺は両手で耳をふさぎ、何も聞こえないようにした

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

それでも少女の悲痛な叫び声は止むことはなかった。

俺は耐え切れなくなり、反対側の壁に背中を預けて座り込んでしまった。

暗い闇の中で不意に何かを感じ部屋の天井の隅をみた。そこには赤いランプが灯っていた。

見られている………

俺は直感的にそう思った。そして未だ隣の部屋からは、しくしくと、少女が泣き続けていた。

ごっ…!ごっ…!ごっ…!

どさりっ!

…一体、なんの音だ?俺はもう、考えたくなかった。
目を閉じても、耳をふさいでも、少女が床をのたうつ姿は、追い掛けるように俺に入り込んでくる。
「痛い…よ…痛いよぉ……」

時間が経つにつれ、その声は弱々しくなっていた。

やがてその声が消えた後……

静寂の中、くぐもった嗚咽が、虚しく響き渡っていた。

「助けて……」

声無き声が聞こえる。

「助けて……助けてよぉ…」

「全て貴様のせいだ!」

突如現れた男の声が、少女の声をかき消した。

「貴様は、こうなることを最初から知っていたんだろ!だから逃げ出した!あの子を置いてな!」

「違う!……ただ…俺は」

「違わないだろ…おまえはあの子との約束を破ったんだ」

俺は、その事を聞き少女との約束を思い出した。

「いい子にして待ってるから…だから……迎えに来てね。約束だよ」



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