「拓人君、両親が離婚してしばらく父親の実家に住んでたんだけど、その後父親が再婚して今は違う場所に住んでるみたい…」
瑠奈が美優に説明した。
(え!拓人君もご両親が離婚してるんだ…)
美優は意外だった。
(あたしと同じ境遇だったんだー)
意外にも自分と同じ家庭環境で、美優は拓人にリアルに同情感を持った。と同時に親近感、連帯感とまではいかなかったが、同じ境遇の環境にいるものとして、拓人の心のうちを自分の事のように痛く感じた…。
「瑠奈はなんで拓人君の事知ってるの?」
「拓人君のおばあちゃんが華道教室開いてて、うちのお母さんが習いに行ってて、知り合いなの」
ちょっとした疑問は解けたが、世の中どこでどう繋がってるもんかわかんないもんだ…。美優は関心した。
ただ、再会した拓人の以前と違うクールでちょっと近寄りがたい雰囲気や、ふと見せる、対象物よりもっと先の何かを見つめてるような瞳のアンニュイな感じも理解出来た気がした。