三人の美女は、坂元運転手にしばらく待機するように指示し、Fタワーへ走って行った。
レースって何の事だろう?まぁ良い。客は美人だし、ここまでの料金は少し色を着けてもらっている。
また乗ってくれるだろうか…。
三人の美女が再び走って戻って来た。
「坂元さん、アナタ…H温泉の方面に土地勘はあるかしら?」リーダーの女が言った。
「H温泉なら、かみさんの郷ですよ。大体わかりますよ」
女は数秒間考えていた。坂元にとっては大変長い時間に感じられた。
女が何か決心したように言った。
「またお願いするわ…。良い仕事をしてね。一秒でも早くH温泉のR館というホテルに着きたいの。高速道路は使わないで…」
「承知しました。この車は半年前に買い替えたばかりでして…ナビも最新のヤツです」坂元は嬉しそうに言った。
「そう…。ナビも良いけど、アナタのドライバーとしての勘にも期待したいわ」
「分かりました。最速ルートで参りましょう。さぁどうぞ」
アヤは思った。まだ上がいたか…。スマチーム?まさかね。
「ねぇ、スマチームってレースや車の専門家だと思う?」アヤが言った。
「さぁ…。私にはさっぱりですぅ」優子が言った。
「何か私達と同じ匂いがします…。根拠は有りません。勘です」グラビアアイドルのアキが言った。
「アナタもそう思う?」
「アヤさんもですか?」
「ええ…。アキちゃん。そういう勘って大事なのよ。予感とか…場の雰囲気とかね。芸能界も、このレースも」
<気の使い手>がここにもいた。
一流は皆、本能的に理解しているのだ。
文学も音楽も武術も美術も科学も芸術も…。全て究極の形は同じなのだ。
気の使い手とは、それを理解している者を言う。
天才のデブ、シンジ。トップミュージシャンのクミ、アユミ、ナミエ。オカマのイッコー。ケイン。スーパーアイドルのタクヤ。危険な刑事達。そして石川遼一…。皆それを理解している。
気の使い手達の闘いが始まった。