俺のような仕事(例えばそれは作家)に就きたいと思うのなら、言葉を縦横無尽に使いこなせる必要にして十分な条件が生じる。
それには、サッカーボールを友達にした翼君のように、言葉を友達にしないとダメだと思う。
まず、それが最初の気持ち。
すべての言葉を友達にする。
君に、それが出来るかな?
言葉は、その時々によって、天使にも悪魔にもなるし、神様にも奴隷にもなる。
手綱を付けられた暴れ馬のように、言葉には、含んだ感情がある。
辞書の中に並んでいる時は、どの馬も、嘶きもせずおとなしくしているが、ひとたび放たれれば、それは、我々調教師でさえも手こずらせる存在になる。
どこへ行くのか分からない。
誰が蹴り飛ばされるか分からない。
言葉には、必ず、言霊の存在がある。
そんなことを言うお前には、ちゃんと言霊というものが、見えてるのかって?
見えるんじゃないんです。
そこに在るんです。
言霊は、その人の気持ちが、言葉に乗り移って表れるようです。
自分が、言霊の存在に気づいた時、きれいな言葉が使えてたら良いですね。
そんなものは、すべてまやかし・蜃気楼なのだとしても、俺はそれを、信じようと思う。