「違う!」
僕は、叫び声をあげてベッドから跳ね起きた。
達也「ハァ……ハァ……夢…か?」
周りを見渡すと確かに僕の部屋だった。あの薄暗い牢屋のような部屋ではなく、紛れも無く僕、桐原達也の部屋だ。
ドサッ……
僕は、またベッドに倒れ込むと時計を見た。時計の針はちょうど朝の8時を指していた。
達也「もうこんな時間か……そろそろ来るかな?」
そう思った矢先だった。誰かが階段を駆け上がってくるのがわかった。そしてその足音は部屋の前で立ち止まったようだ。
???「にぃに起きてる?入るよ?」
その声の主は、部屋のドアを開けるとベッドに歩み寄ってきたベッドの布団を引っぺがいした。
???「朝だよにぃに!起きて!」
達也「起きてるてば……ったくいい加減、その起こし方をやめてくれ美奈」
彼女の名前は、桐原美奈(きりはら みな)僕の妹で歳は、僕の一つ下で高校一年生である。
美奈「だってにぃに、こうしないと起きないでしょ」
達也「………………」
そう言われて言い返すことが出来なかった。美奈が言うにはかなり朝が弱いらしい。
美奈「じゃあ早く着替えて下に来てよ。にぃに」
達也「わかった」
美奈は、そう言うと部屋から出ていた。しょうがないとっとと着替えて下に行かないとさすがに学校に遅れてしまう。
僕は、制服に着替えて鞄を持って下に下りた。
下に下りると奈美が朝食の準備をしていた。
美奈「にぃに、遅いよご飯冷めちゃうよ」
達也「ごめんごめん。母さんは?」
美奈「もうとっくに出掛けました」
達也「そっか……いただきます」
‘あっ!,と美奈がいろいろと言っているようだが僕はもくもくとご飯を食べた。
ご飯を食べ終えると僕と美奈は、学校に出かけることにした。と言っても歩いて10分ほどのところにある旭坂学園なのだから急ぐ必要はないのだ。
美奈「にぃに、忘れ物ない?鍵閉めるよ」
達也「うん。たぶんないと思う」
美奈「ホントにー?前、そう言って忘れてたような気が……」
達也「さーて!とっとと行くか!」
僕は、美奈をほって早歩きで学校に向かうことにした。
美奈「あっ!!にぃに、待ってよ!!」