ハーフムーン (38)

 2009-05-26投稿
閲覧数[917] 良い投票[0] 悪い投票[0]

ミユキは昔、一度だけ機内食を食べた記憶があったが、それと変わらない程に、味は美味しかった。

二人が夢中になって食べていると、今度はグラスが運ばれ、そこにシャンパンのような液体が注がれた。

「この度はおめでとうございます。ご当選の記念にどうぞお飲み下さい」
亀山がそう言い終わらないうちに、マモルはすでにゴクゴクと飲み始めていた。

「ぷはーっ!うめぇ〜、こんな美味い物、飲んだことねぇよ!ミユキ、お前も飲んだ方がいいよ」

「あの…これって、アルコール入ってますよね?私、アルコールはダメなんです」
ミユキがそう言うと、亀山はにっこり笑って言った。

「大丈夫。アルコールは入ってませんから。アルコールは」

ミユキは、亀山に念を押され安心したのか、そのシャンパンらしきグラスを口にした。

その後も二人は食べ続け、機内食とグラスの飲み物を、すっかり空けてしまった。

ミユキとマモルは満足した様子で、窓から見えるジェット機を眺めながら談笑していた。

機長の亀山は、相変わらず説明書みたいな冊子をパラパラとめくっている。

やがて二人の口数は少なくなっていき、マモルはとうとう眠り出した。それに気付いたミユキも、うつ向いたまま、動かなくなった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 翔 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ