次のページをめくると、鍵屋と書かれた地図が出てきた。
隣町の繁華街を指していた。
迷ったわけではないが、とにかくこの「感染」について情報を集めようと思った。
僕は妻を連れて隣町へと出かけた。
指定された場所には「居酒屋キーポイント」と言う飲み屋が一件あった。
中へ入るとかなり年を召した老人がマスターで、同い年くらいの男性が飲んでいた。
僕は迷わず聞いてみた。
「鍵屋はここですか?」
すると老人は薄笑いしながら「ものごとにゃぁ順序がある、まぁ座りゃんせ。あれは君の奥さんかい?」
「えぇ、家内です。」
「ふっふっふ。二人とも感染者かぃ。」
妻と顔を合わせ、即座に答えた。
「な、なぜわかるのです?」
「顔に死相が出とる。選択を早まってはいかんぞぇ、ほれ。奴を見てごらん、あんなに落ち着いとる。」と、カウンターの客を指さした。
僕はとっさに
「あなたも感染者なんですね?」
すると彼は僕をにらみつけた。
マスターは笑いながら「奴はしゃべれないんじゃ。最良の選択をして声を失った。」
僕は震えが止まらなかった…