朝、全くやる気が出ない。
昨日の出来事は夢ではなく、俺の服に付いていた死神の羽根がそれを物語っていた。
俺は会社に辞表を出して、家でゴロゴロしている。
明後日には死ぬかもしれない、そんな中で仕事なんか出来るものか。
…しかし、暇には勝てない。
俺は今、路地裏にいる。
昨日の場所だ。
これは日課のようなもので、一日一回は来るようにしている。
今日もここは面白みのない場所―――\r
「ニャー」
―――のはずだった。
…声のした方へ振り向くとそこには段ボールに入った黒猫が。
俺と同じだ。そう思った。
死を待つ姿が、孤独に捕われている姿が、俺と重なった。
俺は明後日死ぬ。こいつもここにいればいつか死ぬ。
ならば、と俺は猫の頭を撫でてやり、抱き抱えて帰宅した。
空は、月が綺麗に映える、漆黒の空だった。