朝、生暖かい感触が頬を伝い、目を覚ます。
横を向くと、黒猫がじーっと俺の顔を見つめている。
昨日、俺が拾った猫だ。
名はメシア。
孤独、恐怖、不安から俺を救ってくれた、まさに俺の“救世主”だ。
俺はメシアの頭を撫で、キッチンへ向かった。
冷蔵庫からミルクと魚を用意し、メシアにあげる。
メシアは可愛く「ニャー」と鳴いて、食べ始めた。
…和む。
メシアが居ると明日で死ぬかもしれないなんて気にならない、怖くない。
…メシアは本当に俺を救いに来たのかもしれない。
メシアが食べ終わると、俺は食器を片付け、メシアを抱いて外へ出た。
散歩だ。
いつもの路地裏、誰も居ない。
でも何故か、いつもと違う風景に見えた。
輝いている気がした。
メシアが、俺に生きる希望をくれる。
メシアは、俺の光だ。
俺は、暗くなるまでそこに立ち尽くしていた。