朝、もふもふした感触で目を覚ます。
横には黒猫、そいつがほお擦りしている。
この子はメシア、俺の家族だ
俺はメシアご飯をあげた。
メシアは美味しそうに食べた。
メシアの喜びは俺の幸せだ。
メシアが食べ終わると、俺は食器を下げて、メシアを撫でた。
メシアも俺を舐めた、友情の証だ。
それから、俺はメシアを抱き抱え、散歩に出かけた。
…この時、俺は今日死ぬことをすっかり忘れていた。
もし覚えていれば、散歩なんて行かなかったのに…。
いつもの路地裏へ向かう途中、俺は変な違和感がした。
嫌な予感がする…。
そう思った直後、例の死神が姿を現した。
今更ながら思い出した、“俺は今日死ぬ”のだ、と。
「時間です。さようなら」
死にたくない―――死を宣告された時は全く出なかった感情が心の中に溢れた。
辺りが暗くなる。
上を見ると、鉄骨が降ってくる。
身体が動かない…死ぬ。
死ぬ―――