死ぬ、そう思った時、身体が何かに突き飛ばされた。
…メシアだ。
メシアが、いつの間にか俺の手から離れて、全身全霊を込めて俺を助けてくれたのか?
しかし、メシアは俺の元居た場所にいる。
このままだとメシアが!
「メシア…!?メシアーーーーッ!!」
俺の叫びも虚しく、メシアは鉄骨の下敷きになった。
「…本当ならあれで死ぬのは貴方だった、けど、あの子のおかげで貴方の寿命はまた少し延びた」
メシアが俺の代わりに死んだ、だから俺は生き延びた。
「あの子の分まで生きて下さいね、じゃないと、あの子が報われない」
死神は帰った。
でも、俺の怒りは収まらない。
俺のせいでメシアは死んだ、メシアは俺を救って、代わりに死んだ。
あれから10年、俺は毎年この場所に花を届けに来ている。
俺の命を救った勇敢な、メシアの為に。
END