DEEP☆RED 4

戒音  2009-05-26投稿
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「何故、この地にカルディア女王自らがいるのだ」
大国フィーリアの国王としての問い掛けに、カルディア王国女王の立場であるアルファリアは、毅然として立ち上がった。
「意図的にこの場所にいたのではありません。フィーリア国王陛下」
服に付いた若草を手で払いのけて、アルファリアは一礼する。
「我が守護者、フォルネウスが、私をこの地に招いたのです」
選定者。神に選ばれし地上代行者。
守護者とは、その選定者と魂を共有せし、神の御使いの事。
カノンですら、それぐらいは知っている。
「ここがフィーリアならば、カルディアまでは三日。すぐに経ちましょう。領土を侵した事、深くお詫び致します」
予想外だったのだろう。
カノンは何も持たない彼女に慌てる。
「貴女を我がバレンツィエ城に招きたい。今の状況で国内に入るのはあまりにも無謀だ」
突然の事に動揺したのは、近衛兵達の方だ。
「陛下ッ」
アルファリアは、自分に向けられるカノンの瞳を、直視出来なかった。
彼はカルディアが危機にあると思っているのだ。
しかし、敵兵は自分がこの手で・・。
ふと、意識を失い掛けたアルファリアを、とっさにカノンは抱き留めた。
懐かしいあの香りに包まれて、カノンは無意識に強く抱きしめる。
一陣の風が、二人の髪をなびかせた。
(ローザ)
哀愁が込み上げて来た時だった。
不意に突き飛ばされたカノンが我にかえる。
「私は一体・・」
動揺するカノンを前に、左手を腰に当てたアルファリアが、高慢な態度に変わる。
その背中に二対の翼が飛び出す。
近衛兵達は慌ててカノンを庇うように立ちはだかった。
「へぇ。フィーリアの王様って綺麗な顔をしているじゃないか」
とてもアルファリアの言動とは思えず、カノンは確信する。
「貴公が守護者か」
フォルネウスは唇の端を吊り上げて笑みを浮かべた。
「そ♪僕がアルファリアの守護者、フォルネウス」
フォルネウスの不気味なまでの無邪気さが緊迫させた。
「何故、この地を貴公は選んだ」
カノンは気丈に振る舞う。
その姿に、クスクスとフォルネウスは笑い出す。
「懐かしい香りだろ?カノン。彼女の香りは」
カノンが驚愕する。
「驚くのも無理はないさ。僕だって今まで忘れてたし」
「お前は一体何を・・」
「お前がローザを、彼女を殺したんだから」

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