夏の日差しは、樹がパラソルがわり。
小高いここは、風の通りもよくて気持ちいい。
年頃三人集まれば恋ばな。
桜と樋口君はお互いの親に合わせたらしく公認の仲。
「でも…付き合っては、ないよ!!」
「えっ!?」
私と理沙は思わず驚く。
桜は、割りとさらっと
「言われてもないし、私も言わない、しばれない」
と、最後だけは切なく聞こえた。
「いいの?」
私はまたいらぬおせっかいで心配してしまう。
「お互いの気持ちが続くなら形は、あとからついてくるわ」
理沙は優しく桜に微笑んで私の肩を小突いた。
確かに理沙は正しい。
桜の気持ちもよくわかる。
でもうまく言葉にできない私がはがゆい。
「桜が好きな人が、桜を大切に思ってくれる…それだけでいいじゃん」
やっと言えたのは、そんな月並みな言葉。
だけどこれは本当に本心。
今の私達には約束や責任なんてことはできない。
まだまだ子どもだから。
でも同じ制服時代に出逢たのは奇跡。
お互いの心に寄り添い合うだけで…もっと頑張れる。
先のことは…わからないけどこれからは、自分たちで作っていくものと信じている。
「ありがとう」
桜の笑顔が可愛かった。