帰ろうとすると葵が追いかけてきた。
『真次君冷たいな〜。わざとでしょ。わざと。私の目はごまかせないよ!』
葵が寝言を言った。
『寝言は寝てから言えよ。てか、わざとって何だよ』
『真次君って本当は優しいよね?だって真次君だけ他の男子と違って信也君をいじめないもん』
それは他の野郎と一緒にされたくないからだ。別に信也をかばっているわけではない。
『お前ふざけんなよ。喧嘩うってんのか?』
『いくらで買ってくれるの?っていうのは冗談で〜全然からかってないよ!』
それをからかってるって言うんだろ。こいつと話すと調子が狂う。
『お前、家こっちの方向なのか?』
『そうだよ。真次君と同じマンションだよ』
知らなかった。よくコンビニで会うと思っていたら同じマンションだったのか。世の中は狭いな…。
『真次君ってKIDに似てるよね?K-1の奴』
葵が急に話を変えた。
『は?意味わかんねぇし』
そういうお前は瀬戸朝香を若くした感じに見えなくもない。
『お前は誰にも似てないな。このブスさっさと消えろ』
『お前って言わないでよ。どうして名前で呼んでくれないの?』
そう言うと葵はマンション近くの公園に消えていった。