13才。中一の冴えないあたしが恋をした。
2つ年上の敏征先輩。背が高くて見た目は怖そうだし、いかにも不良って感じの先輩。
あたしたちの向かい側の校舎に先輩達の教室があった。
同じ部活だったから存在は知っていたんだけど最初は好きとかじゃなかった。
でもなんとなく気になる存在だった。
あたしは自分に自信がないからいつもそっと先輩を見てるだけだったなぁ。
それだけで幸せだった。でも見ているうちに先輩があたしたち一年生の校舎をトイレの窓や廊下から見ていることがたびたびあって…先輩を見ているあたしと目が合う事が多かった。 そんなある日、先輩が仲良くしている友達から
「敏ちゃんには1年に気になる子がいる」と聞いた。あたしはわかってたんだ。先輩が一途に誰かを見ている事。それが誰かはわからない。でも愛しそうに視線を向けてた。
それであたしは先輩を好きになったんだ。
あんな大きな手に守られる人はいいなってずっと思ってた。 それがあたしじゃない事もわかってた。