(個性的?)
言われた言葉を自分の中で繰り返してみる。
「渡辺君って言ったのは鈴だけだよ。」
悩んでる鈴に歩美が小声で教えてくれた。
「えぇ!?渡辺君カッコいいのに?」
悠哉のルックス鈴から見たらは上の上か中かというところ。
「だから、それが個性的なんだっつーの。」
どうやら、鈴のタイプではあるが、みんなはそうではないらしい。
(意味わかんない…。)
とまだ頭の上に疑問符を浮かべる鈴であった。
その後は夕食や入浴などもあったが、決まって話題は男子のことか、自分たちの趣味について。
鈴は話には参加せず、歩美と2人で話していた。
そんなこんなであっと言う間にオリエンテーションは終わり、今は帰りのバスの中。
帰りも同様に、最初はクイズ大会をしていたが、
「あの〜…」
と鈴は前から声をかけられた。
鈴はもちろんクイズなど聞いているわけもなく、頬杖をつきながら外の景色を見ていた。
「あ、はい!?」
と声の主に返事をする。
「メールのアドレス教えてほしいんだけど。」
と言われた。
(…名前なんて言うんだっけ…。)
1人は班の男子だったが、もう1人の名前は知らない。
「あ、俺は加藤颯(かとうはやて)。名前知ってた?」
(あぁ!思い出した!)
と思って頷く。
それから鈴は紙に自分のアドレスを書いて渡した。
「ありがと!帰ったらメールするから。」
と2人から言われ、それにも笑顔で答える。