「そういえば、中川さんって綺麗なのに、男いないの?」
「加納さん、それってセクハラになるんですよ。」
「もしかして、女の子が好きだったりして。」
「・・・まさかー、でも初めて、そんなこと男性に言われたの。」
「だって俺、野郎が好きだからさ。」
加納は駆け引きがあまり好きではない。
ずばっと言うところが出世を早めた面もある。
「どういうこと?」
「また白々しい、俺はあの街の住人、中川さんだって、あの街の住人なんでしょ?
俺、この前見かけたよ、グラマラスな娘が好みなんだなーって思った。」
中川が警戒する。
「はっ、街ってなんのこと?」
「俺、なんかしようってわけじゃないんだ。」
「もう、意味がわからないわ、さっ仕事しなくちゃ。」
中川が去ろうとする。
「俺達、社の噂にならないか?」
「?」
「中川さんと俺って、できてるらしいよ。」
中川は頭のいい女だ、瞬時に気がつく。
「じゃー、今日、一緒に食事に行かなくちゃね。」
「噂を早速、実践ですか?」
笑みを浮かべて中川はいう。
「実践あるのみよ。」
あれから三年、加納と中川は
社の噂を保っている。
中川のタイプは、グラマラスすぎる馬鹿なセックスの上手い女
ということを加納は知っている。
加納のタイプは、少年から大人に変わる頃合いの細い愛らしい学生君
ということを中川は知っている。
「また、K大学の学生と付き合うの?懲りないのね、あんた。」
「マヒルだって、爆乳には目がないじゃん。」
「やーねー、私は割り切ってるもの。セックスしたいだけよ。」
「でも女が本気になって、ずっと付け回されたりしてますが。」
「・・・、うっさいわね。とにかく私は色んな花とお話がしたいの。
あんたみたいに学生の尻を追ってる阿保とは違うのよ。」
「だってさ、めっちゃ可愛いんだよ。服のセンスももっと磨いてやりたいんだ。」
社の噂\r
そんなものはあてにならないのかもしれない。
ただ、加納と中川は、これからも
社の噂\r
を保とうと思っている。