歩行者信号が青になり幾多の人が一斉にスクランブル交差点を渡り始めた。
一人の男が道路の中央に差し掛かったとき、突然空から何かが降ってきた。
男は雨かと思い空を見上げるのだが、何故か降ってくるものは黒っぽいのだ。
幾多のそれが体に当たり地面に落ちた。
なんとそれらは地面の上で動いているのだ。
男はその黒っぽいものの正体は大量の蠢く虫だと気づいた。
男は狼狽し周りを見渡すがさっきまでいたはずの幾多の人間の姿はいっさいなく、辺り一面がドス黒い虫の絨毯に覆われていた。
ふと気が付くと胸の辺りまで虫に埋もれていた。
虫の雨の勢いは益々激しくなり、遂に頭まで埋もれてしまった。
虫は鼻や口や耳などいたる穴から入って来て身体中を蝕みながら蠢いている。
うじゃウジャうじゃウジャうじゃウジャうじゃウジャうじゃ……ブチッブチッ
虫が至るところから皮膚を突き破って出てきた。
「ぐわぁーー!!」