「えっ…。なんで誰も居ないの？」
純も疑問に思ったらしく、驚きの表情で言う。
「邪魔なんだけど…。」
聞き慣れた男子の声。
この声は…。
「高橋！良かったぁ〜。ウチら以外にも居たよ。このクラス。」
大袈裟に私は、大声で喜びを表す。
高橋はうるさいと言った感じで、しかめっ面をする。
高橋は私達と同じ小学校の卒業生で、恥ずかしいけど、私が小四の時好きだった人だ。
「早くそこどいて。俺、教室に入れないんだけど。」
高橋は素っ気無く言う。「あっ。ご、ごめん！」
「高橋じゃん！おはよぉ〜。」
純も高橋の存在に気付き、挨拶を交わす。
「おはよ。」
高橋も挨拶をする。
高橋は前の黒板に書かれている自分の席へと腰を降ろす。
高橋が来たのを合図のように、続々と来る新入生。
知らない顔の人も居れば、小学校が同じ人。
そして八時二十分。ついにあいつが来た。
「慎、来んの遅ぇ〜ぞ。」
「仕方ないだろ。寝坊したんだから。」
廊下で交わされる男子の会話。
やけに慎の言葉が懐かしく感じる。
寝坊とかありえな…。
男子の会話を聞きながら、私はそんな事を思う。
ガラッー。
教室のドアが開かれる。
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