誰?

 2009-05-30投稿
閲覧数[368] 良い投票[0] 悪い投票[0]

 『すごく愛してるよ。』

 僕はこの気持ちに自信を持っていた。
 愛するとは、自分を全て知ってもらい、僕も相手を全て知ってると思っていた。
 ある日、些細な事がきっかけで喧嘩になった。本当に些細だと、僕は思っていたんだ。

 「もう別れよう。」
考えてもいなかった言葉が僕を怯えさせた。
(どうせ、別れないんだから。)
もちろん強がりだったのだが、
「解った。」と一言。
 思っていた通り相手は本気ではなかったが、まさか僕が別れたい気持ちになるなんて。

 前と同じ内容の、些細な喧嘩をまたしてしまう。
 相手は本気で怒り、さすがに申し訳ないと思った僕は許してもらおうと、いろいろと頑張ってみる。
 そんな最中、(あれっ?)
変なことに気付いてしまったのだ。


『お前、誰だ?』


 開き直った訳でもなく、確かに愛していて、許してもくれそうだったのに、相手のことが誰だか解らなくなったのだ。
 そう思ってからは愛せなくなり、もちろん別れることになる。

 後々、その時のことをこう考える。
 あの時、相手のことが解らなくなったのではなく、自分のことが解らなくなってたのだと。


 『僕は誰?』



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 鏡 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ