ロストクロニクル7―16

五十嵐時  2009-05-31投稿
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「さて、お話はここまでにして・・・スペース!」
途端に鏡の体を持つ怪物が襲いかかってきた。
「来たぞ!」
タクトはなんとか左へかわしたが、敵の姿をはっきり捉えることができず、やはり戦うどころか避けることさえも危うく感じられた。
「いつまで耐えれるか見物ね」
ダイヤはタクトたちのスペードの攻撃を必死に避け続ける姿を見てケラケラと笑い出した。
「このままじゃ体力が無くなって終わりだ!扉に向かって走ろう!」
それを聞いた途端、スペードは天井を這いながら、扉の方に向かって行き、思い切り扉に体当たりし、扉を変形させてしまった。
「あれじゃ扉が開きません!」
タクトたちの体力も無くなってきた。万事休す、そんな言葉がタクトの脳裏を過った時だった。
突然タクトの目の前に黒いブラックホールのような穴が現れた。
「なんだ?」
スペードにはまだこんな力があったのか、と思えば
「タクト!大丈夫?」
ブラックホールの中にダイヤと同じ姿をした少女が立っていた。
「パール!どうし・・・」
「今は説明してる時間がないの。急いで!」
パールはタクトを穴の中に入るよう急かした。
「駄目だ。二人が」
「スペード!あの穴よ」
ダイヤが黒い穴を指さすと視線を追いかけていたフラットからタクトとパールの方へ向けた。
まずい!気付かれた。
「タクト!とにかくこの中に入って!」
パールは少し声を荒げ、タクトを促した。
「駄目だ。二人がまだいるんだ」
こんな会話をしている内にも、スペードは着実にタクトとパールとの距離を縮めている。
「大丈夫。すぐに戻って来れるから、だから早く!」
パールは焦りを隠せず、さらに声を荒げた。
「・・・わかった。その代わり、すぐに二人を助けに来よう」
「よし!じゃあ急いで入って」
タクトが穴に入り、穴が閉じたと同時にスペードが飛び込んできた。

「大丈夫?タクト」
「ああ、大丈夫。あれ、ここは?」
タクトの周りにはさっきと変わらない景色があった。
「こっちが現実よ」
タクトにはパールが何を言っているのかさっぱり分からず、頭の中が真っ白になった。
「・・・えっ?」
「だから、あなたたちがいたのが鏡の世界でこっちが現実なの。よく考えてみなさいよ。彼女たちは鏡の中にしかいられないのよ?」

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