「なに?」
私は、また嬉しさを隠しながら電話にでた。
「お前のせいで、今日仕事遅刻した」
春樹が優しい声で言った。
「は?電話したじゃん」
私は少し笑いながら答えた。
「だから、今から遊ぼ」
春樹も少し笑っていた。
その頃春樹には彼女が居て、その彼女は妊娠していた。
「ヤダよ。春樹もう結婚するんでしょ?」
私も春樹に、逢いたかった。
その頃私にも彼氏が居た。
「じゃぁお前のせいで、俺が遅刻したんだから、ご飯食べるのに付き合え」
春樹も私と同じ気持ちなんだと思った。
「解った」
私はもう、逢いたい気持ちを抑えられなかった。
そして、私と春樹は久々に二人きりになった。
私はいつも、あまり春樹に深く関わらない様にしていた。
私と春樹には、必ず別れが来ると思っていた。
久々に逢った私と春樹は、お互い気持ちを抑えられなくなっていた。
だから、それから私と春樹は頻繁に、逢う様になった。
そして、私は初めて春樹に抱かれた。
私を抱いた後、春樹が
「まだ、やりたいだけだと思う?」
そう聞いてきた。
私も忘れていた。
【やりたいだけ?】
私が15歳の頃、春樹に言った言葉。
春樹の気持ちが、伝わってきた瞬間だった。
だから、私は優しい笑顔で首を振った。