私は悪くない2

今井将磨  2009-05-31投稿
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信子は出世したとは言っても、実力ではない。

こまが空いたからだ。

できる上司が定年した。

こまが空いた。

若い男性社員が上司になった。

しかし潰した。

「私が悪いんですか?」

仕事ができないわけでもない信子は取締役たちに、毎日のように若い上司のミスを伝え続けた。

ついに部長に信子が選ばれた。

信子は有頂天だった。

ついに自分の実力が認められたと思ったからだ。

実際はこうだ。

「あの、ばあさんは安い。後三年で必ずやめる。

あの、ばあさんを今更動かす部署なんてないだろう。

かと言って、新人をまた入れたら、いびられて、折角の新人をダメにしてしまう。

ここはどうだ?

あのばあさんに部長をやらせてみよう。

もしなんとなく三年が過ぎたら、おめでとうとでも言って、

おくりだせばいい。

何か重大なミスをしたら首を切ればいい。」

信子は威厳を保つことに勢力的だ。

新人は毎日注意する。

褒めることはない。

私は悪くないのだから。

部下には気にいられていると思う。

私を認めている部下は認める価値がある。

そうでない部下は飛ばした。

私は悪くないのだから。

生活、仕事、すべてにおいて、パーフェクトだと信子は思うのだ。

だが、ふと何もない空間に閉じ込められたような息苦しさを覚える。

でもたぶん疲れているのだと受け流す。

私は悪くないのだから。

私は悪くないのだから。

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